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2020.12.15

脱プラ印刷で、プラスチックから紙の時代へ

今、プラスチックごみによる海洋汚染が大きな問題になっています。世界中で年間910万トンもの海洋ごみが発生し、2050年にはごみの量が魚の量を上回るといわれているほどです。そうしたプラスチックごみによる海洋汚染問題への世界的な関心が高まるなか、プラスチックの削減を目指す脱プラ(脱プラスチック)の動きが広がってきています。紙の表面加工やクリアファイルなどプラスチックを扱うことが多い印刷業界では、どのような取り組みや対策が行なわれているのでしょうか。今回のコラムでは、印刷業界におけるさまざまな脱プラの取り組みに迫ります。

〈 INDEX 〉
プラスチックから紙へ。脱プラ印刷とは?
脱プラ印刷が注目される背景
脱プラ印刷とSDGsとの関わり
脱プラ印刷と海洋プラスチック問題
企業にとって脱プラ印刷を取り入れるメリットとは?
脱プラで注目されている紙製品の事例
CCG HONANDOでは環境目標を設定し、環境マネジメントを推進しています

プラスチックから紙へ。脱プラ印刷とは?

さまざまな環境課題や社会課題を解決するための取り組みが推進されている今、印刷業界に目を向けた時に挙げられるのが、プラスチックではなく紙の利用を促進する「脱プラ印刷」です。印刷には、石油からつくられたプラスチックの一種を使用したPP(ポリプロピレン)加工というものがあります。地球環境保護の観点から見れば、埋蔵量が有限なエネルギー資源である石油を使ったPP加工は、やはり推奨できません。PP加工と同等の強度と見た目を保ちながらも、プラスチックを使用しない脱プラ印刷は、印刷加工における新技術なのです。

身近な脱プラ印刷の例として、すべて紙でできたクリアファイルやうちわがあります。紙製のクリアファイルは、プラスチック製のクリアファイルと違って中が見えない仕様になっていて、重要な書類を入れてお渡しするのに最適です。また、うちわは骨にプラスチックを使わないので、使用後に廃棄しやすくエコなアイテムです。

脱プラ印刷が注目される背景

環境への配慮が企業の社会的責任となっている今、プラスチックを使用しない脱プラ印刷は、まさに時流に沿った印刷方法といえます。プラスチックを紙で代替する流れは、今後もますます加速していくことが考えられます。

脱プラ印刷が注目される背景

プラスチックは手軽に使えて耐久性に富み、安価に生産できることから、包装・梱包のための資材や緩衝材などに幅広く利用されてきました。しかし、その多くは使い捨てられてプラスチックごみとなり、海の生態系にまで甚大な影響を与えています。そうした深刻な海洋汚染問題を受け、今、社会全体でプラスチック削減への機運が高まっています。

2020年7月からは、レジ袋の有料化が全国でスタートしました。この制度は、小売業の事業者がプラスチック製の買い物袋を有料で販売することで、プラスチックごみの排出抑制を促進するものです。近年、脱プラを目指す動きが加速していますが、あらためて注目されている素材のひとつが、印刷にもかかわりが深い「紙」なのです。

アパレル業界では買い物袋が紙袋になり、食品・飲食業界では紙容器や紙ストローなどが使われるなど、さまざまなところで紙の需要が広がっています。

もちろん紙といっても、紙質や厚さなど種類はさまざま。皆さんが日常生活で目にしているなかでも、新聞や雑誌、段ボール、トイレットペーパーなど、用途に合わせて多くの紙製品が使われています。このように、紙はとても汎用性の高いもの。色や形が変幻自在で、ニーズに合わせてその姿をうまく変えられるのが一番のメリットといえます。

例えば、トイレットペーパーのように使い捨てされることを前提にした衛生商品も、よく考えると的確に環境に配慮しています。だからこそ近年、SDGsの観点や環境保全に貢献できる素材として、紙の利用が注目を集めているのです。

脱プラ印刷とSDGsとの関わり

「SDGs(Sustainable Development Goals):持続可能な開発目標」とは、17のグローバル目標と169のターゲットからなる国連の開発目標。2015年に国連が採択した、先進国を含む国際社会全体が2030年までに実現すべき、環境・経済・社会についてのゴールです。

プラスチックではなく紙の利用を促進し、石油由来のプラスチックを使用するPP加工を行なわない脱プラ印刷は、SDGsのグローバル目標である「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「11.住み続けられるまちづくりを」に沿った技術で、持続可能な社会づくりに大きく貢献することができます。

脱プラ印刷と海洋プラスチック問題

世界のプラスチック生産量は、1964年から2014年までの50年で、1,500万トンから3億1,100万トンと20倍以上に急増し、今後20年でさらに倍増すると予想されています。そして、年間910万トンのプラスチックが海洋ごみとなって流出。2050年には、ごみの量が魚の量を上回るといわれているのです。想像しただけでもゾッとするこの現状は、SDGsにおいても注視されており、海洋汚染の原因になる海洋プラスチック問題への対策は急務です。

そうしたなか、プラスチックから紙の利用を促す脱プラ印刷を推進することは、SDGsのグローバル目標である「12.つくる責任・つかう責任」「14.海の豊さを守ろう」の達成につながります。そして、私たち自身がプラスチックの3R「Reduce(リデュース=発生抑制)・Reuse(リユース=再使用)・Recycle(リサイクル=再利用)」に努めることをはじめ、海洋プラスチック問題の改善に向けた取り組みは、まだまだたくさんあるのではないでしょうか。

海洋プラスチック問題とは。その全容と問題解決につなげるCCG HONANDOの取り組みについて

今、世界で問題視されている海洋プラスチック問題。私たちの生活の中から出るプラスチックごみが海に流出し、海を汚染するだけではなく、そこに住む生物にも大きな影響を与えています。そうした海洋プラスチック問題の全容に迫りつつ、私たち人間ができる解決策、そしてCCG HONANDOが企業としてできる取り組みについてお話しします。

企業にとって脱プラ印刷を取り入れるメリットとは?

海洋プラスチック問題は決して机上のものではなく、多くの人が関心を寄せています。例えば2019年10月に内閣府が公表した「環境問題に関する世論調査」によれば、プラスチックごみによる海洋汚染などの問題に「関心がある」と答えた人は9割にも上ります。

また、2020年11月に行なわれたG20サミット環境問題会合では、菅首相(当時)が、海洋プラスチックによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指し、途上国への技術支援を行なう考えを表明。脱炭素社会の実現を目指すうえでも、脱プラへの関心や取り組みは非常に高まっているのです。

そこで、身の回りにどんなプラスチックがあり、何が必要なプラスチックで、どれが減らせるプラスチックなのかをあらためて見直すことがとても重要です。個人としての意識向上はもちろん、企業としての社会的責任も求められている今、脱プラ印刷を取り入れることで、根本的なごみの量を削減することから始めてみてはいかがでしょうか。

企業としてプラスチックごみ問題への対応に遅れることは、企業価値やブランドイメージを大きく損ねる恐れがあります。一方で、脱プラ印刷を取り入れることで商品のデザイン性を高めたり、消費者の価値観に合わせて販売手法を変えたりすることができ、新たな需要を創出する機会にもなりえます。この機会にぜひ、脱プラ印刷を検討してみてはいかがでしょうか。

脱プラで注目されている紙製品の事例

環境問題がますます深刻化するなか、世界中で脱プラに向けた動きが広がっています。日本の製紙メーカーが新たに開発した段ボール箱は、発泡スチロール容器の代わりに使えるよう特殊な防水加工を施し、水を入れた状態で3週間そのままにしても水が漏れなかったということで、すでに一部の水産会社が鮮魚の輸送用として採用しています。

フィルムラミネートや雨用カバーなどの石油資源を使わずに撥水性を実現する「撥水ニス」や、菓子や惣菜のプラスチックトレーに代わる耐水耐油コーティングを施した「紙トレー」など、幅広い業種で活用できる紙化技術もあります。

紙製品メーカーの山櫻は、ファッションブランドとコラボレーションし、ハイエンド向けの紙製ハンガーを開発。「脱プラ」や「エシカル」といった観点だけでなく、紙だからこその価値を掛け合わせて提案しています。

東京五輪で注目された段ボール製ベッド

2021年の東京五輪・パラリンピック大会の選手村では、ベッドフレームに史上初といわれる「段ボール」が採用され、話題を集めました。段ボールであるものの耐久性が高く、一般的な木製やスチール製のベッドフレームより頑丈で、200kgの荷重に対応できるそうです。

段ボールは、古紙としてリサイクルできる環境にやさしい素材です。また、大型ベッドでありながら軽量なので、レイアウト変更が簡単に行なえるうえに、低コストであることも注目すべき特徴です。折り畳んで保管でき、有事の際に災害用簡易ベッドとして活用することも可能。段ボール製ベッドは、非常用品として販売されています。

2011年の東日本大震災では約2,800台、2014年の広島の土砂災害では約400台の段ボール製ベッドが提供されたそうです。避難所では、床に寝ることが身体への負担になります。段ボールベッドは、設置が容易であることに加えて、ストレスを低減できるというメリットもあるのです。

カプセルトイ(ガチャガチャ)のカプセルを紙化

大手回転寿司チェーンでは、寿司を食べると楽しめるゲームの景品が入ったカプセルに、特殊製法による紙製のカプセルを試験導入。紙製にすることで一般ごみとして廃棄でき、燃やしても有害物質が出ないため、環境に配慮した取り組みとなっています。

CCG HONANDOでは環境目標を設定し、環境マネジメントを推進しています

私たちCCG HONANDOでは、環境マネジメントシステムとして環境省が策定した「エコアクション21」に2010年から取り組んでいます。CO2排出量の削減目標を掲げ、事業活動を通じて、電力・ガソリン・水の使用量の削減と廃棄物の削減を実践。環境負荷低減を実現するための取り組みとSDGsを組み合わせた、持続可能な活動を行なっています。

また、海洋プラスチック問題の解決に貢献するために脱プラ印刷を推進し、弊社オリジナルの製品も多数世に送り出しています。脱プラ印刷をご検討されているお客様は、ぜひCCG HONANDOにお問い合わせください。ご要望に応じたさまざまなご提案を行ない、お客様のビジネスと環境活動をサポートいたします。

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