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2020.12.05

SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けて、印刷業界ができることとは

SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けて、印刷業界ができることとは

さまざまな環境問題が地球規模で取り沙汰されている昨今。環境負荷低減への取り組みは、企業の事業活動においてだけではなく、私たち一人ひとりの社会活動においても重要なファクターとなっています。「BEST PRINT FOR LIFE , FOR EARTH」を理念に掲げるCCG HONANDOでは、地球にやさしいエコな印刷を続けながら、さらなる環境負荷低減に向けた取り組みを実践中。今回のコラムでは、国連加盟国が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」と、それらの達成に向けた私たちの取り組みについてご紹介します。

〈 INDEX 〉
印刷業界で注目を浴びる、持続可能な開発目標【SDGs】
SDGsが掲げる17のグローバル目標とは
CCG HONANDOのSDGsへの取り組み

印刷業界で注目を浴びる、持続可能な開発目標【SDGs】

「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals):通称【SDGs / エスディージーズ】」とは、17のグローバル目標と169のターゲットから構成された、国連の開発目標のこと。先進国を含む国際社会全体が2030 年までに達成すべき環境・経済・社会についてのゴールで、2015 年9月に国連で採択されました。 同年 12 月に採択された地球温暖化対策のための「パリ協定」と両輪をなすもので、これからの世界を大きく変える道しるべとなっています。

印刷業界で注目を浴びる、持続可能な開発目標【SDGs】

このSDGsに取り組む機運は、政府や自治体をはじめ、国内外の⺠間企業においても高まっています。なぜなら、環境課題や社会課題の解決を通して事業を成長させる、環境課題や社会課題に配慮していないと事業の将来性が見通せない……そんな時代になっているからです。

さまざまな企業活動のなかで、SDGsを通して環境課題や社会課題を解決すると同時に、経営リスクを回避し、新たなビジネスチャンスを獲得していく。そうした持続可能性を追求するための重要な取り組みとして、SDGsに大きな注目が集まっています。もちろんそれは、印刷業界においても例外ではありません。

SDGsが掲げる17のグローバル目標とは

SDGsには、国連が定めた17のグローバル目標があります。貧困や飢餓をなくすこと、エネルギー問題の解決や技術革新の推進、気候変動への対策、生物多様性の保全など、持続可能な社会を実現するために全世界の人々が取り組むべきビジョンや課題などを幅広く網羅。日本を含む国連加盟国193カ国は、これらの目標達成に向けた期間を2030年までと定め、企業だけではなく、官公庁や教育機関などが中心となってさまざまな取り組みを行なっています。

ここでは、SDGsが掲げる17のグローバル目標について、大きく5つのグループに分けてご紹介します。

People(人間)

SDGsが掲げる17のグローバル目標とは

貧困や飢餓をなくすこと、十分な福祉や医療、教育を受けられることなど、すべての人々が健康的で幸せに暮らせる世界を目指すための目標です。

貧困や飢餓などは、一見、開発途上国に対する支援に見えるかもしれません。しかし現状に目を向けてみると、日本の子どもの6〜7人に1人が貧困であるといわれています(厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査」より)。また、世界全体で見ると9,000万人以上の5歳未満児が低体重で、アフリカでは4人に1人が慢性的な飢餓状態に陥っています。子どもだけではなく大人まで、多くの人々が飢餓に悩まされているのです。

Prosperity(豊かさ)

SDGsが掲げる17のグローバル目標とは

世界中の人々が経済的な豊かさを得られる社会にするための目標です。そのためには、国家間はもちろん、ひとつの国家内における不平等をなくしていかなければなりません。

また、人口の増加や産業の発展により、エネルギーの消費は今後ますます増えると考えられています。しかし、地球上のエネルギー資源には限りがあり、二酸化炭素による地球温暖化の問題も深刻です。経済成長と地球環境保全を両立させるためには、環境にやさしいクリーンなエネルギーを導入するとともに、技術革新によって産業の発展を推進していく必要があります。そして、やりがいを持って働けることや、安全な街に暮らせることも、豊かさにとって重要な要素といえます。

Planet(地球)

SDGsが掲げる17のグローバル目標とは

美しい地球を次の世代につなげていくための目標です。大量生産・大量消費・大量廃棄の暮らしは、地球環境に大きなダメージを与えてきました。自分たちが生産するものや消費するものにしっかりと責任を持ち、さらには廃棄そのものを減らす取り組みを行なっていくことが求められています。

Peace(平和)

SDGsが掲げる17のグローバル目標とは

地球上には、今なお戦争や紛争、暴力などに苦しんでいる人々がいます。SDGsのグローバル目標「16.平和と公正をすべての人に」では、誰もが安心して暮らせる平和で公正な社会を実現させることが掲げられています。

Partnership(パートナーシップ)

SDGsが掲げる17のグローバル目標とは

あらゆる課題を解決し、持続可能な社会を実現させるためには、世界中の人々が手を取り合い、パートナーシップを持って協力していかなければなりません。私たち一人ひとりが、自分にできることを考えて、具体的なアクションを起こしていくことが大切です。

このように、SDGsで掲げられたグローバル目標は、先進国と開発途上国の両方が目を背けてはいけない重要な問題であるといえるのです。

CCG HONANDOのSDGsへの取り組み

CCG HONANDOのSDGsへの取り組み

CCG HONANDOは、印刷サービスを提供する企業として、2010年から「エコアクション21」に基づいた環境負荷低減への取り組みをスタートしました。現在は、SDGsのグローバル目標のうち12項目において、より良い環境づくりに貢献するための活動を促進しています。その具体的な取り組みについて、いくつか抜粋してご紹介します。

エコ印刷を推進し、二酸化炭素と廃棄物の排出量を削減

印刷時の電力・ガソリン・水の使用量の記録と見直しを行ない、二酸化炭素と廃棄物の排出量削減に努めてきました。いずれの項目においても数値目標を掲げ、決めたことを確実に実行するべく、真摯に環境活動に取り組んでいます。また、環境にやさしい製品づくりも積極的に行なっています。

2021年8月よりカーボンニュートラル印刷工場として稼働開始

2021年8月よりカーボンニュートラル印刷工場として稼働開始

CCG HONANDOでは、環境に配慮した「水なし印刷」を2019年8月より導入し、水の使用量や廃棄物の削減を行なっています。従来の水あり印刷においても、CTP現像時に出る現像廃液を濃縮させ、蒸留再生水と濃縮廃液に分離して廃液をさらに濃縮させることで、廃棄物量を従来の最大1/8(体積比)にまで削減。こうした環境活動を通じて、2019年度(13期)の二酸化炭素排出量は17,660kg-CO2、廃棄物量は22,860kgの削減を実現しました。

さらに2021年8月からは、自社工場での調達エネルギーを100%再生可能エネルギーであるバイオマス燃料にシフト。二酸化炭素排出量ゼロ工場として稼働を開始し、より環境に配慮した製品をお客様へお届けできるようになりました。

環境に配慮した、脱プラスチック製品の開発・製造

環境に配慮した、脱プラスチック製品の開発・製造

今、世界中で年間910万トンの海洋ごみが発生し、2050年にはごみの量が魚の量を上回るといわれています。海洋ごみを魚が摂取すると、体内がマイクロプラスチック化され、食物連鎖によって人間の健康被害につながることが懸念されているのです。

日本では、廃棄されるプラスチック(廃プラ)の有効利用率が84%と、世界的に見ると高い水準になっています。しかし、全体の57.5%は、燃焼の際に発生した熱エネルギーを再利用する「サーマルリサイクル」という処理方法が用いられています。実はこの方法は、海外ではリサイクルとみなされていないのです。つまり、プラスチックを製造する時と廃棄する時の2度、地球温暖化に悪影響を及ぼしていることになります。

こうした現状から、プラスチックに代わる素材として、紙とはじめとする再生可能な素材を選ぶ企業が増えています。CCG HONANDOでは、今までプラスチックで製造されていた製品を紙だけで製造する試みを進めています。例えば、環境に配慮した完全紙製のクリアファイル「ペーパーファイル」。使用後はそのままシュレッダーが可能で、分別は不要です。ほかに、うちわやマスクケースなども紙で製造し、プラスチック削減に貢献しています。

さまざまな手続きや契約をする時、書類と一緒にプラスチック製のクリアファイルをもらうことが多いかもしれません。そのクリアファイルを紙製のペーパーファイルに変えるだけで、環境負荷を減らす取り組みにつながります。企業の展示会や説明などにおいても、手軽に始められる取り組みとして高い関心をお寄せいただいています。

エコ印刷であることを示す環境ラベルの取得とグリーン調達への取り組み

環境活動に取り組むうえでは、さまざまな法規制を理解し、順守しなければなりません。CCG HONANDOでは、エコアクション21を進めるなか、年に1度、法規制および法令関連の提出資料に対するチェックを実施し、問題がないかを確認。しっかりと法令を遵守しながら、より地球にやさしい活動を模索しています。そのために各種認証の取得を行なうほか、環境負荷の少ない原料や資材を優先して購入するグリーン調達にも取り組んでいます。

抗菌のシンボルマーク「SIAAマーク」を取得

抗菌のシンボルマーク「SIAAマーク」を取得

「SIAAマーク」とは、品質や安全性が認められた抗菌加工製品であることをあらわすロゴマークです。抗菌剤や抗菌加工製品を手がけるメーカー、抗菌試験機関などが集まる抗菌製品技術協議会が定めた基準を満たした製品だけが表示することができます。

CCG HONANDOでは、「抗菌ニス」「抗菌・防カビニス」「抗ウイルスニス」や「抗菌PP」を使用した抗菌製品においてSIAAマークの認証を取得し、抗菌性と安全性にすぐれた製品を提供。私たちは、より安全な製品をお客様にお届けしたいと考えています。

森林保全につながる「FSC®認証」の取得

世界の森林資源イメージ

「FSC®森林認証制度」は、国際的な森林管理の認証を行なうNPO「FSC(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)が運営。世界で最も信頼度の高い森林認証制度として知られ、「森林管理の認証 / FM(Forest Management)認証」と「加工・流通過程の管理の認証 / CoC(Chain of Custody)認証)」の2種類の認証制度があります。

「FSC®森林認証制度」は、世界的に統一された10の原則と70の基準に基づいて審査されます。その審査基準は、森林にかかわる世界各国の人たちの声を集め、環境・社会・経済のバランスをとって設定されています。

また、それぞれの原則と基準の下に、各国の状況に応じて設けられた細かい指標があり、審査によってすべての基準において大きな問題がないと確認された場合にのみ、「FSC®認証」が与えられます。

環境に配慮した「サステナブルペーパー」を採用

環境に配慮した「サステナブルペーパー」を採用

「サステナブルペーパー」とは、SDGsの達成と、その先にあるサステナブル(持続可能)な未来づくりのために誕生した紙のこと。主に「バナナペーパー」を指しています。

日本初のフェアトレード認証紙であるバナナペーパーは、これまで廃棄されていたバナナの茎の繊維に、古紙またはFSC®認証バルブを加え、日本の和紙技術を用いて作られた、環境と社会に価値を生み出す紙です。環境問題はもちろん、アフリカの貧困問題を解決に導くことにもつながり、持続的に生産者の暮らしを支える点で注目されています。

CCG HONANDOでは、2010年に「FSC® CoC認証」を取得。FSC®認証紙以外にも、非木材紙やシリアルペーパー、間伐材紙など、さまざまなサステナブルペーパーを採用しています。環境に配慮した用紙を多数ご用意することで、お客様のニーズやご要望に応じた幅広いご提案が可能となっています。

水や空気を汚さず、お客様と社員もうれしい「水なし印刷」の導入

水や空気を汚さず、お客様と社員もうれしい「水なし印刷」の導入

CCG HONANDOが「水なし印刷」を導入する大きな決め手となったのは、これから事業を継続していくうえで、水や空気の汚染を防止し、少しでも環境問題の解決に貢献したいという想いでした。

水なし印刷は、環境にやさしい画期的な技術として注目されており、国のグリーン購入法にも明記されています。従来のオフセット印刷方法では有機溶剤を含む「湿し水(しめしみず)」が不可欠でしたが、水なし印刷では湿し水を一切使いません。印刷工程で湿し水を使用しないことは、印刷工程で排出される廃棄物の大幅な削減につながります。また、印刷版の現像工程において回収廃液を大幅に削減できる水現像方式で処理されるため、自然環境にも労働環境にも配慮した印刷技術であるといわれています。

さらに水なし印刷では、インキの水による乳化がなく、高精細でくっきりとした印刷物に仕上がります。水を使用しないことによる静電気の影響に最善の注意を払わなければなりませんが、通常のオフセット印刷(水あり印刷)と遜色のない仕上がりで、お客様から高い評価を得ています。

水なし印刷を用いた印刷物には、環境保全に配慮されていることをあらわす「バタフライマーク」を表示することができます。印刷物を通じて地域社会の環境保全に貢献し、印刷物を手にされるお客様にも環境保全活動に寄与していただけます。

水や空気を汚さず、お客様と社員もうれしい「水なし印刷」の導入

印刷のオペレーション面においては、オペレータによる水の管理が不要となり、対応が遥かに楽になっています。水なし印刷は、環境に配慮した取り組みであることはもちろん、印刷物を手に取ってくださるお客様、そして私たち社員にもメリットがあることを実感。今後も続けていきたいと考えています。

SDGsのグローバル目標を2030年までに達成するべく、日本のみならず世界規模で取り組みが加速しています。CCG HONANDOでも、環境に配慮した製品づくりをはじめ、持続可能な社会の実現に向けた活動や情報発信を続けながら、お客様へより高い価値をご提供できるよう努めてまいります。

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