SDGsに貢献する水なし印刷とは?水あり印刷との違いやメリットを解説
企業の社会的責任のひとつとして環境負荷低減への取り組みが高まるなか、印刷業界で注目されているのが「水なし印刷」です。水なし印刷の特徴をはじめ、水あり印刷との違いや採用するメリットなどを詳しくご紹介。
2022.03.29
2022年2月16日(水)に、「2021年度 エコアクション21 認証・登録事業者向けアフターフォローセミナー」(主催:エコアクション21 地域事務局大阪/共催:エコアクション21 中央事務局)が開催されました。CCG HONANDOは「エコアクション21」に取り組む企業のひとつとして、『小さな企業にもできたエコなアクション』と題して講演をさせていただきました。今回のコラムでは、前編・後編にわたってその模様をお届けします。前編に続き後編では、CCG HONANDOが続けてきた「エコアクション21」の取り組みについて具体的にご紹介します。
▼前編:今注目を集める「エコアクション21」とは?メリットや取得方法を解説 ~ セミナーレポート(前編)~
〈 INDEX 〉「エコアクション21」に取り組むにあたっては、代表者のリーダーシップが非常に重要であるといわれています。「エコアクション21」の目的や内容を正しく理解したうえで、組織全体で「エコアクション21」を推進していく必要があるためです。活動範囲や実施体制なども明確にしなければなりません。
次に、ガイドラインに沿って「環境への負荷の自己チェック」や「環境への取り組みの自己チェック」を実施。その結果を踏まえて環境方針を決め、目標や活動計画を策定します。環境経営システムの構築・運用においては、計画の策定(Plan)、計画の実施(Do)、取り組み状況の確認・評価(Check)、全体の評価と見直し(Action)のPDCAサイクルが基本となり、この結果を環境経営レポートとして作成・公表します。そして、この一連の流れを繰り返すことによって継続的改善を図ります。
次に、CCG HONANDOの「エコアクション21」における直近3年間の取り組みをご紹介します。CCG HONANDOは「Best Print For Life, For Earth」をビジョンに掲げており、印刷サービス企業として、社会を支える企業として、環境負荷低減はとても大切な使命であると考えています。
今、印刷業界で注目されているのが「水なし印刷」です。従来のオフセット印刷のような有害物質を含んだ廃液を出さず、さらには水も空気も汚さない画期的な印刷手法です。2019年にその環境優位性が国に認められ、グリーン購入法にも明記されています。
CCG HONANDOでは当時、10年以上前に導入した印刷機のメンテナンスに課題を抱えていました。どうにかしたいと考えた際、水なし印刷のことを思い出したのです。水なし印刷は、既存の印刷機を水なし仕様に変更するだけでOKで、費用もそれほどかからないことが決め手となり、弊社では2019年8月に水なし印刷を導入しました。
水なし印刷を導入して感じたメリットは、環境面においては何より廃液が出ないことです。経営面では、印刷工程における水の管理が不要になりました。また、材料費は年間110万円、ローラー代は年間35万円、湿し水装置の修繕費は350万円の削減につながりました。
一方で、デメリットを感じた点もあります。環境面においては、二酸化炭素の排出量は水あり印刷とそれほど変わりませんでした。経営面では、水なしの刷版を出力する際に手間がかかるため完全無人での作業ができないこと、インク代が5%ほど増えたことなどが挙げられます。
水なし印刷は、環境面・経営面ともに良い面があるものの、二酸化炭素の排出量の削減という観点においては、サプライヤーの皆様との協同が必要であると感じています。
企業の社会的責任のひとつとして環境負荷低減への取り組みが高まるなか、印刷業界で注目されているのが「水なし印刷」です。水なし印刷の特徴をはじめ、水あり印刷との違いや採用するメリットなどを詳しくご紹介。
2020年に取り組んだのは、脱プラ商品の開発です。昨今、海洋プラスチック問題が深刻化しており、このままのスピードでプラスチックごみが増え続けると、2050年にはプラスチックごみの重量が魚の重量を超えてしまうといわれています。
CCG HONANDOが脱プラ商品の開発に取り組むことを決めたのは、あるお客様からの「環境に良い製品を販促品として配りたい」というご相談がきっかけでした。社会的な脱プラスチックの動きを受け、印刷会社として環境負荷が少ない紙製品を世に送り出したいと考えたのです。
それまで本格的に脱プラ製品の開発に取り組んだことはありませんでしたが、まずは紙で代用できそうなプラスチック製品を洗い出しました。そして、リモートワークの便利グッズと流行りの小さな文具を商品化することにしたのです。その一例をご紹介します。
脱プラ製品の開発を通して、環境面では脱プラスチックに貢献することができました。経営面では、脱プラ製品をきっかけにFSC認証紙をはじめとする環境負荷の低い商品へのお問い合わせが増加しました。
一方で、すべての紙が環境にやさしいというわけではなく、管理された森林から作られた紙を使用する必要がありました。経営面では、社内にクリエイティブプランナーやデザイナーがいるわけでないため、クライアント様に刺さるデザインの商品の開発という点では課題があります。
環境系の商材を扱うことによって環境配慮企業として認知していただける機会が増えましたが、より多くの方々に知っていただくために、今後はトレンドに合わせたデザイン性の高い商材のご提案が必要だと感じています。
今、プラスチックごみによる海洋汚染が大きな問題になっています。プラスチックごみによる海洋汚染問題への世界的な関心が高まるなか、プラスチックの削減を目指す脱プラ(脱プラスチック)の動きが広がってきています。印刷業界におけるさまざまな脱プラの取り組みに迫ります。
最後に、2021年に取り組んだカーボンニュートラルについてご紹介します。カーボンニュートラルとは、ライフサイクル全体で見た時に、二酸化炭素の排出量と吸収量が実質的にプラスマイナスゼロになることをいいます。弊社では、自社工場のエネルギーをカーボンニュートラルで調達しています。
使用するエネルギーはバイオマス燃料です。バイオマス燃料は燃焼時に二酸化炭素を排出しますが、原料となる植物が成長過程で光合成によって二酸化炭素を吸収しているため、その循環において実質的にゼロという考え方になります。
カーボンニュートラルの取り組みによって、環境面では二酸化炭素の排出量削減に貢献。経営面では、お客様からの反応が非常に良く、取り組み方法を聞かれることがあります。一方で、工場ではカーボンニュートラルに取り組むことができたものの、テナント契約の本社ビルは電力の切り替えができませんでした。経営面では企業アピールは成功したものの、エンドユーザーへのアピールは不十分であると感じています。
カーボンニュートラルの取り組みそのものは、社員のモチベーションアップにつながりました。今後は直接的に売り上げに貢献できるアプローチを検討していきたいと考えています。
「カーボンニュートラル」という言葉を聞いたことはありますか?カーボンニュートラルとは、いま世界規模で急速に動き始めている脱炭素社会を目指す取り組みのひとつ。今回の記事では、カーボンニュートラルの概要と仕組み、世界や日本における現状などをあらゆる角度から解説します。
ここまで直近3年間に行なったアクションについてご紹介しましたが、「取り組みっぱなしではもったいない」と感じ、社内外へ積極的に発信を行なっています。
会社の顔となる会社案内では、環境活動に対する想いや取り組みを掲載。自社のWebサイトでは、環境に関する記事を公開しています。ほかにも、各種資料の送付時にはプラスチック製のクリアファイルではなく紙製のペーパーファイルを使用したり、環境課題に取り組む決意のもとに工場の外壁をリニューアルしたりと、さまざまなアクションを継続しています。
さまざまな取り組みを行ない、その内容を発信し続けた結果をご紹介します。どのような効果があったのか、売り上げの推移を「エコアクション21」の認証を取得する前の2010年から振り返ってみました。すると、途中までは順調に成長ができていましたが、2017~2019年にかけて、取引先が合計3社廃業してしまい、売り上げが減少。さらに2020年以降はコロナ禍の影響で思うように売り上げが伸びませんでした。しかし、新商品開発や「エコアクション21」、SDGsの活動を地道に取り組み続けることで、今後の回復を見込んでいます。
数字上の変化はもちろんですが、環境に対する取り組みを行なっていることでお仕事のご相談をいただく機会が増えました。弊社はグループ経営をしていますが、グループ会社から取り組みを評価してもらい、グループ会社のお得意様へのアピールにつながっているようです。また、自社のWebサイトを利用した広報活動によって、環境課題に取り組もうとする企業からのお問い合わせをいただくようになりました。「CCG HONANDO=環境活動に取り組む企業」というブランディングに成功できたと考えています。
最後に、CCG HONANDOのこれからの取り組みについてお話しします。弊社はこれまでのアクションを通して、環境活動に取り組む一企業になったと自負しています。しかし、私たちだけでは限られたキャパシティしかありません。もっと本気で環境課題に取り組むために、サプライヤーや同業他社の方々、そして日本全体に、環境活動の輪を広げていきたいと考えています。
CCG HONANDOは、「Best Print For Life, For Earth」をテーマに、環境配慮企業であり、ワクワクをつくる企業でありたいと考えています。そして、小さな企業でも世の中を変えられることを示したい。それが私たちの目標です。弊社の取り組みについてご興味がありましたら、一度工場見学にお越しください。人数を制限してのご案内になりますが、ぜひお気軽にお声がけいただけますと幸いです。
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