海洋プラスチック問題とは。その全容と問題解決につなげるCCG HONANDOの取り組みについて
今、世界で問題視されている海洋プラスチック問題。私たちの生活の中から出るプラスチックごみが海に流出し、海を汚染するだけではなく、そこに住む生物にも大きな影響を与えています。今回のコラムでは、そうした海洋プラスチック問題の全容に迫りつつ、私たち人間ができる解決策、そしてCCG HONANDOが企業としてできる取り組みについてお話しします。
2021.10.29
普段、身の回りでどれだけのプラスチックが使われているか、意識したことはあるでしょうか。レジ袋やペットボトルをはじめ、衣類や靴、歯ブラシや使い捨てカミソリなど、なにげなく手にしているものにはプラスチック製品があふれています。
1950年代に大規模な生産が始まって以来、プラスチックの生産量は年々増えています。そのうち大きな割合を占めているのが包装用のプラスチックで、ほとんどがリサイクルされずに使い捨てにされています。こういった現状は、化石燃料の枯渇、廃棄物の増加、海洋汚染など、環境にさまざまな影響を与えています。SDGsにおいても、地球規模での資源の管理や廃棄物の規制、海洋プラスチックごみ問題への対応が求められています。
そもそもプラスチックは、石油由来の物質です。石油の主成分は水素と炭素で、燃やすと水蒸気を含む水と二酸化炭素が排出されます。プラスチックの燃焼による環境への影響として、種類によっては塩化水素ガスが発生するため酸性雨の原因になること、二酸化炭素が発生するため地球温暖化を促進することなどが指摘されています。
日本では、二酸化炭素をできるだけ排出しないように処理が行なわれています。しかし、この問題は日本だけでなく世界規模で起こっていることです。世界中でプラスチックの焼却処理が行なわれると、かなりの二酸化炭素が排出されることになるのです。
海洋プラスチック問題は、プラスチックごみによる環境問題のなかでも特に深刻で、私たちの生活に直結しています。例えば、マイクロプラスチックによる人体への影響や、生態系のバランスが崩れることによる漁業への影響、そして、プラスチックごみによって景観が損なわれ、観光業に影響が出ることも懸念されています。
プラスチックの製造と廃棄を現在のペースのまま続けると、2050年には海洋プラスチックごみの量が魚の量を上回ってしまうといわれています。海洋プラスチックごみは、環境問題の重大なテーマのひとつなのです。
今、世界で問題視されている海洋プラスチック問題。私たちの生活の中から出るプラスチックごみが海に流出し、海を汚染するだけではなく、そこに住む生物にも大きな影響を与えています。今回のコラムでは、そうした海洋プラスチック問題の全容に迫りつつ、私たち人間ができる解決策、そしてCCG HONANDOが企業としてできる取り組みについてお話しします。
前述の通り、プラスチックは石油由来の物質です。プラスチックは、軽くて加工が容易なうえに強度や耐久性にすぐれ、さらには安価な素材です。大量生産できるため、メリットが大きいと考えられてきましたが、これまでのプラスチックには大きな欠点が2つありました。
1つは、廃棄すると環境に悪影響を及ぼしてしまうこと。自然の中では埋めても分解されず、燃やすと大量の二酸化炭素が発生し、地球温暖化につながります。もう1つは、石油という限りある資源を大量に消費してしまうこと。このまま石油を使い続けるといずれ枯渇するのではないかと懸念されており、化石燃料に代わる資源の発見や開発が急がれています。
現在では、上記の課題を解決するために、再生可能な生物由来の資源を原料とした「バイオマスプラスチック」がつくられるようになりました。バイオマスプラスチックは、例えばトウモロコシやサトウキビといった可食植物の、食べられない部分を有効活用して製造されています。 植物は、成長過程で二酸化炭素を吸収すること、そして何度でも再生可能であることから、持続可能な素材といえます。つまり、大気中の二酸化炭素濃度の上昇を抑制し、化石燃料の消費を削減することにつながります。
日本バイオプラスチック協会(JBPA)では、バイオマスプラスチックを「原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み、化学的又は生物学的に合成することにより得られる高分子材料」と定義しています(化学的に未修飾な天然有機高分子材料は除く)。
環境にやさしいバイオマスプラスチックは、紙素材では代替できない、耐水性や強度を求められる場合に有効な素材です。トウモロコシやサトウキビなどの食べられない部分を使用するため、食糧供給に影響せず、種が存在する限りは何度でも育てることができます。そのため、石油資源のように枯渇する心配も基本的にありません。
バイオプラスチックには、「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」の2種類があります。環境にやさしいという点では同じですが、その特徴は大きく異なります。プラスチックの原料に着目したのがバイオマスプラスチック、プラスチックの機能に着目したのが生分解性プラスチックです。なかには、生分解性プラスチックの機能を持ったバイオマスプラスチックもあります。
例えば、ポリ乳酸(PLA)が原料に使われたバイオマスプラスチックは特によく知られ、適切な環境下で分解する性質を持っています。また、身近なバイオマス資源である「デンプン」と「セルロース」を組み合わせてつくられたバイオマスプラスチックも、適切な環境下で分解する性質を持たせることができます。
ポリ乳酸植物由来のデンプンや糖を原料として製造されたバイオマスプラスチックです。通常の環境下では、従来のプラスチックと同様に長期間使用することができます。使用後にコンポストや土中など水分と温度が適度な環境下に置くことで、最終的には完全に水と二酸化炭素に分解されます。また、数あるプラスチックのなかで、燃焼時の二酸化炭素排出量が最低レベルだといわれています。
大阪大学の研究により、デンプンとセルロースから高強度・高耐水性の海洋生分解性プラスチックが開発されました。こちらは、身近なバイオマス資源を組み合わせることで生まれた生分解性プラスチックです。
海洋プラスチック問題が重大なテーマとして取り上げられるなか、海洋生分解性プラスチックはあまり実用化されていませんでした。デンプンそのものは安価で入手できるものの、耐水性の面で課題があり、プラスチックの原料としては積極的に用いられていなかったのです。しかし、セルロースと組み合わせ、多糖類同士の強固な相互作用を利用することで、耐水性と強度が向上。このバイオマスプラスチックの開発は、海洋プラスチックごみの問題の解決に大きなインパクトを与える可能性があり、早期の実用化が期待されています。
バイオマスプラスチックとは、再生可能な生物由来の資源を原料として製造されたプラスチックです。また、バイオマスプラスチックは、大きく「全面的バイオマス原料プラスチック」と「部分的バイオマス原料プラスチック」の2つに分けることができます。原料の100%がバイオマスのプラスチックを「全面的バイオマス原料プラスチック」、原料の一部がバイオマスであるものを「部分的バイオマス原料プラスチック」と呼んでいます。いずれも環境にやさしいプラスチックです。
前述の通り、バイオプラスチックには2種類あります。バイオマスプラスチックとは、植物由来のプラスチックで、サトウキビやトウモロコシのデンプンなどが原料となっているプラスチックのこと。生分解性プラスチックとは、プラスチックとしての機能を保ちつつ、一定の条件下で微生物の働きによって分解される性質を持つプラスチックのこと。一般的なプラスチックは自然界では分解されず、海洋汚染の原因となったり、生態系に悪影響を及ぼしたりします。生分解性プラスチックの原料は、バイオマス由来のものと石油由来のものがあります。
一般的なプラスチックは自然界では分解されず、海洋汚染の原因となったり、生態系に悪影響を及ぼしたりします。生分解性プラスチックの原料にはバイオマス由来のものと石油由来のものがありますが、最終的には水と二酸化炭素に分解されます。
プラスチックに特殊な素材を混ぜ込むことで生分解性を付与し、微生物の力で自然に分解される性質を持つ「生分解性プラスチック」。土壌や海洋など適切な自然環境下で水と二酸化炭素に完全に分解されることから、地球にやさしい素材として注目されています。今回は、生分解性プラスチックのメリット・デメリットをはじめ、種類や用途などを詳しくご紹介します。
石油を使わず、生物由来の資源を原料としてつくられるバイオマスプラスチックは、環境にやさしく、新しいプラスチック素材として注目を集めています。石油は限りある資源ですが、バイオマスプラスチックは再生可能な生物由来であるため、栽培に年月はかかるものの繰り返し収穫することが可能です。この継続性は、バイオマスプラスチックのメリットのひとつです。また、従来の石油由来のプラスチックにはない生分解性(微生物の働きによって分解される性質)も大きなメリットといえます。
2020年10月の臨時国会において、2050年までに「カーボンニュートラル」の実現を目指すことが宣言されました。カーボンニュートラルとは、急速に進む地球温暖化を解決するための世界的に重要な目標で、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにすることを目指すものです。ただし、完全に排出を抑えることは現実的ではないため、炭素固定(排出された二酸化炭素を地上や海の植物が吸収すること)や排出権取引などによって相殺することとなっています。
バイオマスプラスチックは、カーボンニュートラルに向けた取り組みのひとつです。原料となるサトウキビやトウモロコシなどの植物は、成長の過程で二酸化炭素を吸収します。バイオプラスチックを焼却すると二酸化炭素が発生しますが、原料となる植物の栽培時点からトータルで見ると、二酸化炭素が増減しません。つまり、差し引きがゼロとなります。そのため、温室効果ガス削減の観点から注目されています。
「カーボンニュートラル」という言葉を聞いたことはありますか?カーボンニュートラルとは、いま世界規模で急速に動き始めている脱炭素社会を目指す取り組みのひとつ。今回の記事では、カーボンニュートラルの概要と仕組み、世界や日本における現状などをあらゆる角度から解説します。
生分解性プラスチックは、一定の条件下で微生物の働きによって分解され、自然へと還ります。一般的なプラスチックにはこのような仕組みはなく、劣化すると小さなプラスチック(マイクロプラスチック)となって、環境へ悪影響を与え続けます。
生分解性プラスチックは、一般的なプラスチックと同様に長期間にわたって使用が可能です。完全に分解されるまでには時間がかかるものの、最終的には水と二酸化炭素に分解されます。しかしその時間は、原料となる植物が育つために不可欠です。こうして再生のサイクルがつくられているのです。
バイオマスプラスチックは、一般的なプラスチックに比べると、まだ広く普及しているとはいえません。環境にやさしいというメリットがある反面、コストとリサイクルの面において、課題が残っているのが現状です。
コストの面では、一般的なプラスチックよりも割高です。さらに、トウモロコシやサトウキビなど国外の原料を使用する場合、為替や政情などによって価格が変動することがあります。
リサイクルの面では、すべてのバイオマスプラスチックが分解されるわけではありません。可燃ごみとして焼却されると、生分解性の機能を発揮することができません。適切に管理された環境がなければ、分解されることがないのです。そのため、「環境にやさしい」という言葉を過信することなく、個々人の適切な対応が求められます。
バイオマスプラスチックの原料は、膨大な量を確保することが必要です。量産するためには海外のような大規模事業を行なうことが必要で、現在の日本においては量産体制が十分であるとはいえません。バイオプラスチックブームはヨーロッパ圏を中心に世界規模で拡大しており、いくつかのバイオプラスチックによっては原料不足の状態が続いているようです。外国産のものは、輸入価格が為替や政情による影響を受けやすいのが課題です。
バイオプラスチックには、「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」の2種類があります。このうち分解の機能を持つのは「生分解性プラスチック」のみで、通常使用中には分解しないよう、条件がそろったうえで長い時間をかけて分解される仕組みとなっています。分解条件は、土中や水中などさまざまですが、適切に処理されないと分解されず、結局はプラスチックごみとして放出されることになってしまいます。可燃ごみとして処理されてしまった場合も同様です。このように、バイオマスプラスチックは、適切に管理された環境でこそ本来の機能を発揮することを留意すべきです。
プラスチックは、私たちの生活に必要不可欠な素材です。だからこそ、バイオマスプラスチックへの転換を図ることで、環境負荷を減らしていきたいものです。日本バイオプラスチック協会のWebサイトでは、バイオマスプラスチックを使用した身近な製品を紹介しています。例えば、レジ袋や耐熱容器、車の座席シートや部品などがあります。食品を入れるトレー、スプーンやスプーンといった食器類も、普通のプラスチックからバイオマスプラスチックへの切り替えが徐々に始まっています。
2020年7月から始まったレジ袋有料化をきっかけに、プラスチックが環境に与える影響をあらためて考えるようになった方も少なくないかもしれません。脱プラの流れのなかでバイオマスプラスチックが注目されていますが、そもそもプラスチックごみ問題は、Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)の「3R」が大原則です。
なるべくなら使わずに、使った場合は適切にリサイクルをすることが重要ですが、どれだけ意識をしていても、そこからこぼれ落ちてしまう使い捨て製品が出てきてしまいます。そういったものにこそバイオマスプラスチックを採用することが、環境負荷を少なくする取り組みにつながるのではないでしょうか。バイオマスプラスチックの特徴を正しく理解し、環境問題の解決に貢献できるよう、個々人の意識を高めていきましょう。
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