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2022.12.23

印刷インキ(インク)とは?その種類を詳しく解説!

印刷に使われるインクは、印刷技術の発展とともに進化を遂げてきました。現在ではあたり前のように使用されているカラーインキも、初めて製造されたのは18世紀にまでさかのぼります。今回は、印刷とは切っても切れない関係にある「インキ」を取り上げ、印刷用インキの種類を詳しく解説。また、環境問題と印刷インキの関係性についても紹介します。

INDEX
印刷インキとは
印刷インキの種類
印刷インキができあがるまでの工程
環境問題と印刷インキの関係性
CCG HONANDOで使用している印刷インキ
まとめ

印刷インキとは

「印刷インキ」とは、文字通り印刷に使用されるインキを指します。一般的には万年筆やインクジェットプリンターで使う「インク」の方が聞きなじみのある言葉かもしれません。しかし印刷業界では「インキ」と表現することが通例です。インキメーカー各社が印刷用インキの値上げを発表しましたが、それは主原料が高騰しているため。ここでは印刷インキの原材料を解説します。

印刷インキの原材料

印刷インキの主な成分は色料とワニス(ビヒクル)で、補助的に添加物を加えて作ります。色料は色材とも呼ばれ、インキに色を与える役割を持っています。色料は大別すると顔料と染料に分けられ、顔料は用紙に染み込まずに紙の上に付着することから、塗料やプラスチック製品などの着色に使われます。その一方で染料は用紙に浸透することから、繊維やインクジェットプリンター用のインキなどに使われています。ワニスとは透明な塗膜を作る液体でインキを転移、密着させる働きがあります。添加物はインキ製造時に少量を加えることで、流動性や粘稠度、乾燥性といったインキの調子を整えるために使われます。

印刷インキの種類

印刷インキの種類はさまざまで、印刷素材、方法、機械、後加工の有無などによって使用するインキは異なります。ここでは代表的な印刷インキを取り上げて、その種類を詳しく解説します。インキの種類や違いを理解して、用途に合った印刷インキを選びましょう。

種類①平版インキ(オフセットインキ)

平版インキとは、平版印刷(オフセット印刷)で使われるインキのこと。オフセットインキとも呼ばれています。水と油の反発特性を利用した印刷方法で、版に付着させたインキを用紙へ転移して印刷します。書籍、雑誌、ポスター、カレンダー、チラシ、カタログなど、私たちがよく手に取る印刷物の多くに使用されており、印刷業界においては主要なインキのひとつです。

種類②グラビアインキ

グラビアインキとは、凹版印刷の一種・グラビア印刷に用いられるインキです。グラビア印刷は、版胴の凹みにインキを流し込み、余分なインキを削ぎ落としたうえで用紙に転写させて印刷する方法です。濃度表現が得意で、写真集や雑誌といった出版関係の印刷に多く利用されたことから「グラビア写真」という名称が残っています。その用途は多岐にわたり、プラスチックや紙を用いた食品包装用フィルム(軟包装や紙器)、建材壁紙やテーブル、意外なところでは自動車の内装、電子部品、医療用品にも使われています。

種類③新聞インキ

新聞インキとは、新聞の印刷に用いられる専用のインキのこと。新聞は平版インキと同様に平版印刷で刷られていますが、平版印刷との違いはその乾燥方法にあります。新聞印刷は圧倒的なスピード感が求められることから、インキが染み込みやすい、乾きやすい「浸透乾燥方式」を採用しています。新聞インキは新聞に加えて、広報誌や政府公共機関が発行する官報や公報などにも使用されています。。

種類④樹脂凸版インキ(フレキソインキ)

樹脂凸版インキ(フレキソインキ)は、柔軟性のある樹脂版を用いた凸版印刷方式で用いられるインキです。弾力のある版を使用しているため、表面に凹凸のある素材にも対応可能。段ボールやショッピングバッグ、封筒、米袋、紙おむつなどに使用されています。最近は、環境にやさしい水性のフレキソインキを用いるケースが増えています。

種類⑤スクリーンインキ

スクリーンインキは、孔版印刷(スクリーン印刷)に用いられるインキのこと。ポリエステルやナイロンでできたメッシュ状の版を使います。液体や気体以外のほとんどの素材に印刷できるのが特徴で、プラスチック、ガラス、布、金属素材にも印刷することができます。また曲面や筒など印刷面の形状を選ばないことに加え、膜厚を厚くすることで深みのある表現や触感を強調することも得意です。

種類⑥UVインキ

UVインキは、紫外線を照射することでインキを瞬時に硬化・乾燥させ、強固なインキ皮膜を作ります。UVインキはオフセット印刷、凸版印刷(フレキソ印刷)、スクリーン印刷など、さまざまな印刷方式に対応しています。また、UVインキには有機溶剤が含まれていないため、VOC(揮発性有機化合物)成分が極めて少なく、環境保全にも優れたインキです。使用用途は幅広く、化粧箱などの紙器、帳票、シール・ラベル、食品や薬のパッケージに適しています。

UV印刷とは?メリット・デメリット、印刷の注意点を解説

「UV印刷」という言葉を聞いたことがありますか。「UV」というと、スキンケアや日焼け止めをイメージされる方も多いかもしれません。UV印刷は従来の油性印刷よりもメリットが多く、昨今の印刷現場に欠かせない印刷方法になっています。今回はそんなUV印刷にフォーカスを当てて、そのメリットやデメリット、ほかの印刷方法との違いについて詳しく解説していきます。

種類⑦その他の印刷インキ(インクジェットプリンター・レーザープリンター)

ご家庭で使用されるインクジェットプリンター用インキは、ほかの印刷インクとは違って、微細なインク滴を熱や圧力で噴き付ける印刷方式が使われています。インクを「噴射」して印刷するため、粘度の低さ、速乾性の高さが特徴です。その一方で、レーザープリンター用インキは、「トナー」と呼ばれる粉末状のパウダーを感光ドラムに吹き付けたうえで、用紙に押し付けて印刷します。インキが定着しやすく、色がにじみにくいため、ビジネスシーンで幅広く使われています。

印刷インキができあがるまでの工程

「印刷」にはさまざまな方式や装置があり、それぞれに対応するインキを製造する必要があります。印刷インキの製造工程は大別すると、ワニス製造、ニーダー処理、ロールミル処理に分けられます。まずは合成樹脂、乾性油、溶剤を加熱してワニスを製造し、次に顔料と水を加えて、ニーダーと呼ばれる底に羽が付いた機械で練ります。これを「ニーダー処理」と呼びます。最後に「ロールミル処理」といって、速度の違う3本のロールで練肉を行ないます。ロールの間隔で顔料の粒子サイズを調節することも可能です。最後に、ロールをつたって流れてきたインキを缶に充填したら印刷インキの完成です。

環境問題と印刷インキの関係性

印刷インキなどの資材にはさまざまな化学物質が含まれており、その有害性が問題になっています。特に揮発性有機化合物(VOC)は、環境にも人体にも悪影響を与える恐れがあることから、インキメーカー各社はVOCの揮発性を抑えたインキや、植物由来の成分を使用した植物油インキといった環境にやさしいインキ開発に取り組んでいます。環境対応型のインキを使うメリットは大きく、大気汚染の抑制、資源の保護、さらには「環境に配慮した企業」のPRにつなげることができます。

植物油インキマークとは

「植物油インキマーク」は、インキ中に含まれる植物油の量が基準を満たした印刷インキに付与できる環境マークです。以前は「大豆油インキ(ソイインキ)」が使われていましたが、現在はその他の植物からもインキの成分を抽出できるようになり、大豆油、アマニ油、桐油、ヤシ油、バーム油等植物由来の油、およびそれらを主体とした使用済み食用油などをリサイクルした再生油にまで対象が広がっています。印刷インキ工業連合会が設定した基準の植物油を使用した印刷物にも、このマークを添付することができます。

NLマークとは

「NLマーク」とは、印刷インキ工業連合会が制定した「NL規制」に基づいて製造された印刷インキであることを示すマークです。NL規制とは「原則として全てを認可するが、禁止するものだけを一覧表とする」規制方法で、印刷インキの原材料として使用禁止の物質を定めたものです。禁止された化学物質を使用していない印刷インキには、NLマークをつけることができます。

CCG HONANDOで使用している印刷インキ

CCG HONANDOでは主に平版オフセット油性インキ、UVインキを使用していますが、お客様のご要望に応じてさまざまなインキを提案しています。また、東大阪にある自社工場には、植物油インキ、ノンVOCインキ、バイオマスインキなどの環境にやさしい環境対応型のインキもご用意しています。当社が保有する印刷機械・設備は、当社ホームページの「設備案内」をご覧ください。

印刷インキに合ったおすすめの製品

「「短納期で納品してほしい」というお客様には、UVインキをおすすめしています。企業様のポスターや、専門学校様・大学様のDMでは、UVインキを使用することでスピーディな納期にも対応してきました。また、「コストを安く抑えたい」といったお客様には油性インキでの印刷をご提案しています。例えばイベントのチラシやリーフレットには油性インキがおすすめです。CCG HONANDOでは、スケジュールやロット、コストによってインキをご提案するなど柔軟に対応しています。ぜひ一度ご相談ください。

まとめ

今回は印刷用インキについて解説しました。ひと言で「印刷用インキ」といってもさまざまな種類のインキがあり、ここでは紹介しきれませんでしたが、印刷時に磁性を持たせたり、暗闇で光ったり、指でこすると香ったりする特殊な印刷インキもあります。次回はこの「特殊機能インキ」をご紹介します。ぜひご覧ください。

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