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2024.04.02 印刷について

植物油インキとバイオマスインキの違いや、環境配慮インキを使用するメリットを解説

植物油インキとバイオマスインキの違いや、環境配慮インキを使用するメリットを解説

製品を作る際に、「環境に配慮していることを伝えたい」という方も多いと思います。そんな時におすすめしたいのが、植物油インキ(ベジタブルインキ)やバイオマスインキなどの環境にやさしいインキです。これらのインキを使用することで、印刷物に環境マーク(ラベル)を付けることができ、環境に配慮した製品・企業であることをPRすることができます。今回は、環境配慮インキである植物油インキとバイオマスインキを取り上げ、成分の違いや使用するメリットなどを解説します。

〈 INDEX 〉
植物油インキとバイオマスインキの違いは?
植物油インキとバイオマスインキ、どちらが環境にやさしい?
植物油インキのメリット
植物油インキのデメリット
バイオマスインキのメリット
バイオマスインキのデメリット
CCG HONANDOの環境に配慮した印刷方法・取り組み
まとめ

植物油インキとバイオマスインキの違いは?

環境にやさしいインキといえば、植物油インキとバイオマスインキが挙げられます。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。結論からいえば、含まれる成分に大きな違いはなく、どちらも環境にやさしいインキです。ここからは、それぞれのインキの特徴や成分について解説します。

植物油インキとは

植物油インキとは大豆油、亜麻仁油、ヤシ油、パーム油といった再生可能な植物由来の油を原料にしたインキのことを指します。従来のSOY(大豆)インキに替わる植物油インキとして、2008年に印刷インキ工業会によって制定されました。植物油は石油系の溶剤に比べて生分解性があり、VOC(揮発性有機化合物)の排出もほとんどなく、環境負荷低減に寄与するインキとしてさまざまな印刷物に使われています。

植物油インキの成分

「植物油インキ」として認められるには、再生可能な植物油を一定量以上含まなければなりません。印刷インキ工業会が定めた基準によると、「新聞オフ輪インキ:30%以上」「ノンヒートオフ輪インキ:30%以上」「ビジネスフォームインキ:20%以上」の含有量を満たす必要があります。

バイオマスインキとは

バイオマスインキとは綿、パルプ、米ぬかといった生物由来の資源を原料にしたインキのことを指します。バイオマスインキは、原料とする生物が成長する過程で二酸化炭素を吸収するため、廃棄時に燃焼しても二酸化炭素量が増加しないという特徴があります。一般社団法人日本有機資源協会がバイオマスインキの基準、規格を定めています。

バイオマスインキの成分

「バイオマスインキ」として認められるには、製品に含まれるバイオマス成分の含有量が10%以上でなければなりません。その含有率は「%」としてロゴマークに記載されます。

植物油インキとバイオマスインキ、どちらが環境にやさしい?

冒頭でお伝えしたように、植物油インキとバイオマスインキの成分に大きな差はありません。どちらも植物(生物)由来の原料を含有しており、石油由来の有機溶剤の含有量が少ないため、環境や人体への悪影響を抑えることができます。従来のインキとして比較して、環境にやさしいインキといえるでしょう。

植物油インキのメリット

植物油インキは、植物を活用した環境負荷の少ないインキです。植物油インキを使用することで、地球環境の保全に貢献できますし、環境に配慮した企業・印刷物であることをアピールすることも可能です。ここでは、植物油インキを使用するメリットを解説します。

環境負荷の低減

植物油インキは、再生可能な植物由来の油や、廃食用油などをリサイクルした再生油を石油系溶剤の代わりに使用しています。石油系の溶剤は二酸化炭素の排出量が大きいだけでなく、枯渇性資源のため永続的に利用できるものではありません。つまり、植物由来の資源を使うことは、環境負荷の低減や資源の節約につながります。

植物油インキマークによる環境配慮へのアピール効果

印刷インキに含まれる石油系溶剤から発生するVOC(揮発性有機化合物)を抑制するために、CCG HONANDOでは油性印刷に植物油インキを採用しています。大豆をはじめ再生産可能な植物原料を使用した環境対応型の植物油インキを採用することで、製品に植物油インキマークを入れることができます。印刷物を通じて環境に配慮した企業であることをアピールし、顧客からの信頼獲得につながります。

労働環境の改善

植物油インキは、石油系の溶剤に比べて揮発性有機化合物が発生しにくい傾向にあります。VOCは環境だけでなく、人体へも悪影響を与えることが知られており、近年はその使用が問題視されています。植物油インキを使用することで、印刷工程に携わる従業員の健康と安全を守ることにつながります。

植物油インキのデメリット

印刷工業会のホームページによると、近年の環境対応型インキの生産量の9割以上が植物油インキといわれるほど環境にやさしいインキとして、さまざまな製品に使用されています。しかしながら、植物油の含有成分が多くなり過ぎると硬化時間が長くかかってしまい、うまく加工できなくなることも。製品不良の原因にもなりかねないため注意が必要です。CCG HONANDOでは使用する用紙に合った植物油インキをご提案しています。

印刷品質・コスト

植物油の品質については、一般のインキと同様の仕上がりを得ることができます。ただし、一般のインキと比べて乾燥に時間がかかるため、こすれや汚れなどに注意する必要があります。また、植物油の含有量が高いインキは個別で発注するため、通常のインキよりも製造コストが高くなる傾向にあります。

バイオマスインキのメリット

バイオマスインキは、植物油インキと同様に環境負荷が少ないインキです。含有成分に大きな違いはありませんが、「バイオマス」のエコ製品が増えるなかで、バイオマス=エコと認知されるようになり、消費者の購買行動を促進するきっかけになると考えられます。ここでは、バイオマスインキを使用するメリットについて解説します。

石油資源の節約

バイオマスとは、石油や石炭などの石油資源を除いた再生可能な有機性資源のことです。主な資源として、家畜排せつ物や生ゴミ、食品資源、パルプ廃液などを使用する「廃棄物バイオマス」。稲わらや麦わら、もみがらなどを利用する「未利用バイオマス」。サトウキビやいも、とうもろこしなどのでんぷん資源などを利用する「資源作物」などがあります。石油資源の代わりにこれらの有機性資源を使うことで、石油資源の節約と地球温暖化の防止対策につながります。

バイオマスマークで環境配慮に対するアピール効果

バイオマスを利用し、品質および安全性に関する法規や基準、規格に適合した環境製品には、バイオマスマークを付与することができます。製品に含まれるバイオマス成分が10%以上(乾燥重量比)であることが条件ですが、マークを付けることで環境負荷の低い製品であることをアピールすることができます。

バイオマスインキのデメリット

バイオマスインキの品質については、一般のインキと比べて硬化効率性が劣るため、インキの盛り量が多いと乾燥が遅れる場合があります。インキの乾燥不良は加工時のブロッキングを引き起こしかねないため、注意が必要です。また、バイオマスの調達が不安定かつ、収集・輸送などの加工に費用がかかるため、一般的なインキと比べて製造コストが高くなる傾向があります。

CCG HONANDOの環境に配慮した印刷方法・取り組み

CCG HONANDOでは、植物油インキマークとバイオマス30のマークの両方が入ったインキをオフセット印刷で使用しており、環境に配慮した製品づくりに努めています。石油系成分をより抑えた製品をお求めの方には、nonVOCインキを使用するUV印刷をおすすめしています。CCG HONANDOのUV印刷はハイブリットUVを採用しており、オゾンが発生しない波長の紫外線を使用。工場で使用する電気もカーボンニュートラルの電気を使用し、カーボンゼロプリントを実現しています。環境配慮インキや製品をお求めの際は、ぜひCCG HONANDOへお問い合わせください。

まとめ

今回は、環境配慮インキである植物油インキとバイオマスインキを取り上げ、その成分や特徴、インキを使用するメリットについて解説しました。近年SDGsに対する関心の高まりから、環境に配慮した製品の問い合わせが増えています。CCG HONANDOは、植物油インキやバイオマスインキを導入するとともに、バイオマス燃料による工場の二酸化炭素排出量ゼロ(カーボンニュートラルゼロ工場)を実現しています。「どんな環境配慮製品があるのか見てみたい」という方には、過去に手がけた製品などもお見せしながら、用紙の素材や形状をご提案します。

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