カーボンニュートラルとは?概要と仕組み、世界の現状をわかりやすく解説
「カーボンニュートラル」という言葉を聞いたことはありますか?カーボンニュートラルとは、いま世界規模で急速に動き始めている脱炭素社会を目指す取り組みのひとつ。今回の記事では、カーボンニュートラルの概要と仕組み、世界や日本における現状などをあらゆる角度から解説します。
2022.06.30
今、脱炭素社会の実現を目指して世界中で様々な取り組みが行われています。今回の記事では、それらの取り組みのひとつであるカーボンニュートラルをフィーチャー。カーボンニュートラルの概要をはじめ、世界の企業の取り組み、産業界ごとの動向などをご紹介します。そして、自社工場のカーボンニュートラルを実現している私たちCCG HONANDOが新たに開発したロゴマークについてもご説明します。
INDEXカーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。温室効果ガスとは、CO2やメタン、フロンガスなどを指し、火力発電による化石燃料の燃焼をはじめ、自動車や航空機の利用など、私たちは日常生活や様々な経済活動で常に温室効果ガスを排出しているのです。そうした状況下において日本政府は、2020年10月に「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」とカーボンニュートラル宣言をしました。「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引き、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
「カーボンニュートラル」という言葉を聞いたことはありますか?カーボンニュートラルとは、いま世界規模で急速に動き始めている脱炭素社会を目指す取り組みのひとつ。今回の記事では、カーボンニュートラルの概要と仕組み、世界や日本における現状などをあらゆる角度から解説します。
なぜカーボンニュートラルを目指すのか?それは、気候危機を回避し、地球の温暖化を防ぐために、今から取り組む必要があるからです。世界の平均気温は2017年時点で工業化以前(1850~1900年)と比べ、既に約1℃上昇したことが示されています。このままの状況が続けば、さらなる気温上昇が予測されています。気候変動に伴い、今後、豪雨や猛暑のリスクがさらに高まることが予想されており、もはや単なる「気候変動」ではなく、私たち人類や全ての生き物にとっての生存基盤を揺るがす「気候危機」とも言われているのです。気候変動の原因となっている温室効果ガスは、経済活動・日常生活に伴い排出されています。国民一人ひとりの衣食住や移動といったライフスタイルに起因する温室効果ガスが、わが国全体の排出量の約6割を占めるという分析もあり、国や自治体、事業者だけの問題ではありません。誰もが無関係、無関心でいるのではなく、あらゆる局面で主体的に取り組む必要があるのです。将来の世代も安心して暮らせる持続可能な経済社会をつくるために、カーボンニュートラルの実現に向けた様々な取り組みが今、世界的に加速しています。
製造業が環境に与える負荷には、製品を製造している時(生産過程)と、製品が顧客の手に渡った後(使用過程)があります。このうち、生産過程で発生する環境負荷には工場廃棄物や電気・ガス・石油などのエネルギーの使用で発生する温室効果ガスによる大気汚染、水質汚染や騒音などがあります。 全産業における製造業のCO2排出量の割合は約25%と非常に大きく、世界が脱炭素社会を目指す中で、製造業の脱炭素への方針転換が強く求められているのです。一般的な工場では電気使用量のうち多くが生産設備であり、カーボンニュートラルを達成するには、電力のカーボンニュートラル化が最も効果的だと言えます。
省エネに取り組もうとしても、すぐに効果が出にくいため現場のモチベーションが下がり、場合によっては工場設備の稼働効率を下げてしまう恐れがあります。しかし、工場の電力の使用状況を見える化することで、もっとも消費電力が高い設備に着目して効率的に対策を打てるのです。また、どこで無駄が生じているかを把握しやすいため、従業員の省エネに対する意識も高まります。見える化による削減効果は、一般的に全体の消費電力の7%から10%にもなると言われており、工場内で使用する照明や空調、製造設備を省エネ効率の高いものへと交換することも省エネ化の取り組みの1つです。大規模な生産設備の買い替えは導入コストがかかるため容易ではありませんが、すぐにできることとして、工場で一般的に使用されている照明をLEDや無電極ランプへ交換することなどが挙げられます。
太陽光、風力などの自然のエネルギーを利用して発電する再生可能エネルギーは、CO2排出量が少なく、枯渇する恐れのないクリーンなエネルギーです。安定的に供給される電力源として再生可能エネルギーを活用することには様々な課題もありますが、電気事業者による研究開発もどんどん進んでいます。現在、再生可能エネルギーの利用推進のためにあらゆる対策を講じながら、積極的に導入している自治体や企業などが増えています。
前項で再生可能エネルギーについて述べてきましたが、実際の現場ではどのような転換が行われているのか、具体的な事例とともにご紹介していきます。 Googleでは、2017年から全世界の事業拠点の使用電力を自然エネルギー100%に転換。事業の拡大に伴って年率30%以上のペースで使用電力量は増えているそうですが、現在も100%を維持しているそうです。また、2018年の時点で約100億kWhに達し、自然エネルギーの電力調達量は民間企業として世界最大を誇り、新たな目標としてはAIを駆使し、すべての事業拠点において1時間単位で自然エネルギー100%の実現を目指しています。Appleでは、2018年から全世界の事業拠点の使用電力を自然エネルギー100%に転換し、全世界のサプライヤーに、2030年までに自然エネルギー100%の生産を求めています。Facebook は2030年までにバリューチェーン全体で自然エネルギーの100%使用を掲げ、自然エネルギーの調達量はGoogleに次いで世界2位を誇るほどに。そして、Amazonは2025年までに全世界の拠点で自然エネルギー100%の転換を目指しています。他の企業にも2040年までにカーボンニュートラルの実現を働きかける協働プロジェクトとして、「Climate Pledge」を立ち上げ、現在までにIBMなど53社が参加してい流そうです。最後にMicrosoftは、全世界で使用する電力を2025年までに自然エネルギー100%に転換することを目指しており、2030年までにサプライヤーを含むバリューチェーン全体でカーボンネガティブ(ゼロ以下)を目指しています。さらに2050年までに創業時(1975年)からの累積排出量をゼロにすることを宣言しています。
世界を代表するIT企業であるGAFAMによる再⽣可能エネルギーへの転換の取り組みを紹介してきましたが、ここでは印刷業におけるカーボンニュートラルの取り組み事例を具体的にご紹介します。 印刷産業は、⻑年培ってきた情報管理・加⼯の技術とノウハウを活かし、多様化・⾼度化する顧客のニーズに応えると同時に、⾰新的な技術の開発や実⽤化に挑戦し、環境に配慮した製品を⽣活者に提供してきました。今後は、カーボンニュートラルな社会を⽬指すために、以下の2分野で施策を展開し、求められる新しい産業へと成⻑していくことが考えられます。1つ⽬は、事業活動におけるエネルギー起因の排出極⼩化です。省エネ活動のさらなる推進、再⽣可能エネルギーや新エネルギーの利⽤拡⼤、製造プロセスや構造の転換によるエネルギー効率の最⼤化を掲げて取り組みを始めています。そして2つ⽬が、カーボンニュートラル社会への“印刷” の貢献です。これは、カーボンニュートラル社会に対して、印刷を通じて新たな情報⽂化、⽣活⽂化を創出していくことを⽬指しています。これら2つの⼤きな取り組みにより、印刷業の地球温暖化対策への姿勢を明確にするとともに、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、積極的に貢献していこうとする姿勢が理解できるのではないでしょうか。
CCG HONANDOでは、自社工場の電力を再生可能エネルギーであるバイオマス燃料にシフトし、カーボンニュートラルを実現しています。2010年からエコアクション21に基づく様々な環境負荷低減に取り組み、SDGsの12項目における活動を続ける中で、このカーボンニュートラルの実現は社会を支える企業としての大きな責務であると考えてきました。そして、カーボンニュートラルが実現できた今、次のステップに向かうべきだと思ったのです。そこで考えたのが、カーボンニュートラルの認知拡大に貢献し、お客様や消費者の方々が商品を選ぶ際に「環境に優しいものを」という選択肢を持ってもらうための施策です。以下では、私たちCCG HONANDOが開発したオリジナルのロゴマークについてご紹介いたします。
まずは、HONANDO CARBON NEUTRAL MARK(略:HCNマーク)の開発背景からご説明します。2021年8月にCCG HONANDO東大阪第一工場、第二工場で使用する電力を再生可能エネルギー100%調達にしたことで、カーボンニュートラル工場へと変わりました。 そして、お客様に私たちの取り組みを周知し、賛同していただける中で、環境配慮企業としての認知はさらに広まっていきました。しかし、カーボンニュートラルそのものへの認知がまだまだ浅く実際は薄かった印象だったのです。私たちの工場がカーボンニュートラルを実現していたとしても、お客様にはメリットとして感じていただけていませんでした。「それをどうお客様へアピールすれば良いのか」ということが、ロゴマーク開発に至る以前のスタートラインでした。
カーボンニュートラルを実現している自社工場で製造するメリットとしては、他社に比べて製造する際の二酸化炭素排出量を削減できることが第一に挙げられます。しかし、「世間的にこのことをアピールするのは段階的にも早いかもしれない」「お客様自身もどうアピールして良いのか分からないのではないか」「環境に良いことを全て達成してからアピールするのも難しい」「でも、消費者に理解してもらわなければ結局は消費にも繋がらない」など、何度も思考を繰り返していました。そして、結論として辿り着いたのが、お客様にとって理解しやすいのは「商品に直接つながること!」ではないかとなり、その手段としてロゴマークの開発に着手することになったのです。オリジナルのロゴであるHCNマークを開発することで、お客様やエンドユーザーである消費者の方々にもカーボンニュートラル工場で製造したことがアピールできます。 そして、ただ印刷製造物に貼るだけではなく、理解と認知を促進させるために、このHCNマークが何なのかを詳しく解説するホームページも立ち上げました。消費者の認知・周知が進まなければ消費にはつながりませんし、消費に繋がらなければ仕事としても成り立ちません。製造者が分りやすいのではなく、消費者が理解し、選択してもらえるようにすることが私たちの目的です。もちろん、環境に良いことを証明したとしても、デザイン性が低かったり、使いにくい仕様では意味がないため、デザインにも徹底的にこだわりました。それは、「少しでも環境に良いもの」を選択してもらうために、良いものを提供しなければならないという私たちの強い想いがあるから。その第一歩となるオリジナルのHCNマークを通じて、私たちは世の中の子どもたちや多くの消費者が、少しでも環境に良いものを気軽に選べる未来を作っていきたいと考えています。
HONANDO CARBON NEUTRAL MARK(略:HCNマーク)のデザインは、印刷製品におけるカーボンニュートラルの取り組みを示しています。人や地球環境への優しさを想起させる柔らかな印象の書体をベースに、C(シアン)M(マゼンダ)Y(イエロー)K(ブラック)という印刷の基本となる4色を印刷物のページに見立てて構築。そして、未来へと繋がるようなデザインとして表現しました。脱炭素社会の実現に向けて世界中で様々な取り組みが行われている中、このHCNマークが印刷製品につくことで、CO2削減に貢献していることを証明します。
自社工場における印刷製造に関するエネルギーを100%再生可能エネルギーにしたことで、CCG HONANDOで製造するノート、メモ帳、ブロックメモ、本などは全て二酸化炭素排出量ゼロで製造することが可能です。しかし、カーボンニュートラルを実現していない他社で同様の製品を製造する場合は、製造に関わるエネルギーにより二酸化炭素を排出してしまいます。CCG HONANDOで印刷物を製造することは、発注いただくお客様自身も環境負荷低減に間接的に貢献することになり、社会課題の解決に寄与することができるのです。私たちはこれからもカーボンニュートラルの実現を継続するだけではなく、様々な環境負荷低減に取り組みながら、地球環境により良い製品づくりをご提案していきます。カーボンニュートラルや環境に優しい製品に関することは、いつでも気軽にお問い合わせください。
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