SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けて、印刷業界ができることとは
CCG HONANDOでは、地球にやさしいエコな印刷を続けながら、さらなる環境負荷低減に向けた取り組みを実践中。国連加盟国が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」と、それらの達成に向けた私たちの取り組みについてご紹介します。
2020.12.07
国連が掲げたSDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指し、世界中でさまざまな活動が行なわれています。印刷業界においても、環境負荷低減に向けた取り組みは不可欠です。CO2排出量や廃棄物量の削減といった数ある取り組みのなかで、今回クローズアップするのがエコな紙。皆さんは「バナナペーパー」という名前を聞いたことはありますか?バナナペーパーは、いわゆる“サステナブルペーパー”の代名詞的存在。普通の紙とどのように違うのか、その特徴や環境にやさしい理由、メリット・デメリットなどを詳しくご紹介します。
〈 INDEX 〉バナナペーパーは、その名前の通りバナナを原料とした紙です。バナナは1本の茎から一度しか実が取れないため、収穫時に茎まで切ってしまいます。しかし、切った茎は1年以内に再生し、また新しいバナナが育つほど、生命力にあふれています。
そうした特性に着目し、通常なら捨てられてしまうバナナの茎を再利用して作られたのがバナナペーパーです。バナナペーパーは、アフリカ南部の国・ザンビアの有機バナナ畑で、通常なら捨てられてしまう茎を再利用。バナナの茎の繊維に古紙やFSC®認証パルプを加え、日本の伝統的な和紙技術を用いて製造されています。最近では、カンボジアやインドネシアでもバナナペーパー作りが行なわれているようです。
バナナペーパーには、バナナの甘い香りは残っていませんが、よく見ると表面がつぶつぶしています。このつぶつぶの正体は、バナナの茎の繊維。一つひとつ模様の出方が違うので、自然でやさしい風合いを楽しめるのが特徴です。手で触ってみると、バナナの茎の繊維と古紙による少しざらっとした質感もあります。
バナナの木は、一般的な樹木の約10~30倍のスピードで成長し、約1年で紙の資源を作り出すことができます。また、普通の紙との大きな違いは、廃棄されたオーガニックバナナの茎を再利用すること。紙を作るために森林を伐採せずに済むのです。さらには、貧困に悩む発展途上国に新たな雇用を生み出しています。
バナナペーパーは、原材料から製造工程、販売に至るまで、自然環境と雇用環境に配慮しているかを厳密にチェックされたうえで作られた、生産者の顔が見えるフェアトレードペーパーです。大量消費が大量破壊ではなく大量保護につながるバナナペーパーは、SDGsのグローバル目標を達成するためだけではなく、環境と社会に大きな価値を生み出せる紙であるといえます。
こうした背景から、バナナペーパーは、フェアトレードに認定されたエシカル(ethical=倫理的)な紙として学校の教科書にも取り上げられています。
CCG HONANDOでは、地球にやさしいエコな印刷を続けながら、さらなる環境負荷低減に向けた取り組みを実践中。国連加盟国が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」と、それらの達成に向けた私たちの取り組みについてご紹介します。
バナナペーパーの原料であるバナナは、世界の約125ヶ国で栽培され、多くの人々の栄養源として親しまれています。バナナは実が食べごろになったタイミングで収穫されますが、その時に古い茎を切らなければなりません。それは、次の新しいバナナを育てるためです。
一般的な木が10~30年かけてゆっくり再生するのに対し、バナナの茎は1年以内に再生し、新しいバナナの実が成ります。そうした生命力の強さや成長速度の速さという特性があるバナナだからこそ、地球環境と発展途上国の暮らしに配慮したサステナブルな仕組みの中で紙を作ることができるのです。
バナナペーパーの製造は、ザンビアのエンフエという小さな村で2011年からスタート。バナナ農家は、バナナの実に加えて、従来は廃棄物となっていた茎も付加価値として販売することで、今までより多くの収入を得られるようになりました。また、バナナの茎から繊維を取る仕事は、村に雇用を生み出し、地元の住民たちの自立を支えています。
バナナペーパー作りにかかわる仕事から得た収入で、現地の人々は、安全な飲み水や栄養のある食事を手に入れたり、マラリアを予防するための蚊帳を買ったりすることができるようになったほか、病院に行けるようにもなりました。
しかし、アフリカでは未だに3,000万人の子どもたちが学校に行けず、女性たちの40%以上が基礎教育を受けられていません。女性たちが得た収入は子どもたちの就学につながっており、バナナペーパーの売り上げの一部は女性たちの教育支援にも充てられています。
世界では毎年、日本の国土面積の1/3ほどの森林が失われていることをご存じでしょうか。地球に棲む動物の約50%が森林に生息しているため、彼らは生息地を常に失っています。そうした影響から、現在、世界で1日に50種類以上の動植物が絶滅しているといわれています。
p>森林破壊の原因となっているのは、農地への転用や違法な伐採など。それに加えて、野生動物の密猟も深刻な問題となっています。それらを引き起こしている理由のひとつが、貧困問題です。つまり、自然保護や生物多様性は、貧困問題と密接に関わっているのです。バナナペーパーは、廃棄物の有効活用によって森林の伐採を減らすと同時に、雇用創出によって貧困問題の解決にも貢献する、画期的な紙といえます。
さまざまな課題を同時に解決する紙こそ、バナナペーパーです。エコ用紙が担ってきた環境問題を打開するだけではなく、捨てるはずだったものを再利用して雇用を生むことで貧困問題を解決に導き、生産者の暮らしを持続的に支えている点が非常に注目されています。
バナナペーパーは、使用することでSDGs(持続可能な開発目標)の17のグローバル目標すべての達成に貢献。日本初のフェアトレード認証紙(WFTO:World Fair Trade Organization=世界フェアトレード機関認証)で、商品名を「One Planet Paper®(ワンプラネット・ペーパー®)」といいます。
日本の紙製品メーカーや印刷会社などが加盟する「ワンプラネット・ペーパー®協議会」では、このワンプラネット・ペーパー®を広めるための活動を行なっています。また、フェアトレード認証のバナナ繊維を5%以上使用した紙には、ワンプラネット・ペーパー®協議会公認のロゴマークを付けることができます。
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私たちが日々生活のなかで目にする食料品や衣料品のなかには、低価格で購入できるものがたくさんあります。しかしこれらの商品は、コストを抑えるために物価や人件費の安い開発途上国から輸入されていることが多いのです。その背景では、生産者が不当な労働環境で働かされていたり、生産性を向上させるための農薬使用によって環境が破壊されていたりと、さまざまな問題が生まれています。
フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」という意味で、発展途上国の原料や製品を適正な値段で売買する仕組みのこと。フェアトレードの認証を受けた商品を利用・購入することは、開発途上国の生産者をサポートすることでもあるのです。
ここで、バナナペーパーの作り方について簡単にご紹介します。はじめに、収穫されたバナナの茎から余計な水分や皮を取り除いて繊維を取り出し、天日で乾燥させます。その繊維は日本に発送され、和紙の街・福井県越前市にある製紙工場へ。そして、粉砕した繊維に古紙やFSC®認証パルプを混ぜ合わせ、越前和紙の製造技術を活かして紙が作られます。
また、エンフエ村では、住民たちが職人による手漉き和紙の技術指導を受け、現地で販売するパッケージやポストカードのための紙の手漉きも行なわれています。
バナナペーパーは現在、生産量や使用量がまだまだ少ないため、通常用紙の2〜3倍の値で価格が推移しています。環境保全や発展途上国の生活支援に寄与できるとはいえ、コスト面でなかなか踏み切れずにいるお客様が多いのが事実です。
こうした現状を踏まえて、まずは名刺や会社案内などの比較的数量が限られているものからバナナペーパーを導入してみてはいかがでしょうか。バナナの配合率が高いほど値段が高くなりますが、配合率を変更すれば費用を削減できるので、バナナペーパーの導入をご検討の方はCCG HONANDOにぜひお問い合わせください。目的やご希望に応じたご提案をさせていただきます。
CCG HONANDOでは、バナナペーパーを活用したさまざまな製品をご提案。お客様にバナナペーパーを採用していただく場合は、より身近な製品からご提案し、この紙が持つ魅力や背景も合わせてご説明しています。地球規模の環境保全や発展途上国の生活支援などに少しでも貢献できるよう、バナナペーパーを活用した印刷サービスを積み重ねていくことが、私たちCCG HONANDOができる環境活動のひとつだと考えています。
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