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2021.03.31

天糊製本の特徴とは?冊子作りに役立つ情報をご紹介。

雑誌や書籍、カタログ、写真集など、世の中にある数ある冊子は、その仕様やページ数などによってさまざまな製本方法で作られています。そして、今回ご紹介する製本方法が、天糊製本。あまり馴染みのない言葉ですが、誰もが知っているであろうものに使用されている製本方法です。詳しくご紹介しますので、冊子作りの際にぜひお役立てください。

〈 INDEX 〉
天糊製本とは?
天糊製本で使う糊の種類
天糊製本ができるまで
オリジナルメモ帳に最適!くるみ製本とは?
CCG HONANDOでは印刷から断裁・製本までワンストップで対応いたします

天糊製本とは?

天糊製本とは、ノーカーボン紙や上質紙を使った複写伝票、単式伝票に使用される製本方法です。複写伝票や単式伝票などは用紙を1枚ずつ剥がして使うため、製本されるものはすべて天糊という背固めする方法で加工されています。印刷物の綴じられている側(天側)をのりで固めることから、天糊と呼ばれています。仕上げる方法としては、背の部分に天糊だけを使用したものもありますが、マーブル巻きやクロス巻きに仕上げるのが一般的。あるいは最初から表紙・裏表紙は付けずに伝票部分だけを同じようにして作成し、表紙部分をくるみ製本で仕上げることもあります。

天糊製本イメージ

天糊製本で使う糊の種類

天糊製本では、使用する糊にもいくつか種類があります。ここでは代表的なものをピックアップしてご紹介します。

〇ホットメルト…一般的によく使われる最もポピュラーなものです。
〇エマルジョン…糊が薄く最後に糊カスが残らないのがポイント。
〇でんぷん糊…個人の方が手製本する際によく使われているもの。
〇にかわ…上製本の表紙貼りに最もよく使われています。

メーカーによっても色々な種類があるので、ご要望・用途に合わせて、印刷会社と相談することをおすすめします。

製本イメージ

ホットメルト

ホットメルトは、ホット(Hot:熱い)メルト(melt:融ける)の名前の通り、加熱して融かし、接着させる接着剤です。環境に優しく、作業効率の高さが特徴です。主成分によって特性が異なり、用途も変わってくるので覚えておくといいでしょう。一般的に製本加工で使われるのは下記の2種類です。

〇EVA(エチレン酢酸ビニル)系ホットメルト
幅広い粘度域が特長の1つで、製本や包装で使われています。また、ロール状に接着剤を塗布していくのも、EVA系ホットメルトならでは。速固化するタイプから遅いタイプまで幅広くあり、紙や布、軟質塩ビなどのプラスチックへの接着性も良好のため、段ボールにも使用されています。

〇PUR(ポリウレタン)系ホットメルト
塗布した後に湿気と反応することで、耐熱耐寒性が高くなるのがポイント。接着剤ではなかなか接着しにくいPPの接着にもよく使われています。製本後に本を大きく開けても剥がれにくく、インキ溶剤に強い特長があることから、現在一般的な製本用糊として普及。一度、硬化すると軟化しないという性質から、古紙リサイクルにおける溶解工程での除去が容易です。

エマルジョン

シール素材で「普通糊」と表記されているのが、このエマルジョンです。 エマルジョンを分かりやすく説明すると、「やわらかい」「剥がすと糊残りしやすい」「水に溶ける」「寿命が短い」「安い」「紙素材についている糊」などの特徴があります。使用シーンでは「数ヶ月だけ貼るものなのでとにかく安くしたい!」という場合におすすめ。使用用途に合わせて、強粘の溶剤もご提案可能です。

でんぷん糊

でんぷん糊と聞いてまず頭に思い浮かぶのは、小学校などでも使用したことのある、黄色パッケージでお馴染みのフエキのり。そんなでんぷん糊は、個人の方が手製本をする際に使用されていることが多いようです。通常の製本加工ではでんぷん糊を単体で用いますが、合成樹脂エマルジョン型接着剤と混合して使用する場合もあります。また、製本の見返しや革表紙貼り、貼り込み、絵本の合紙貼り、板紙の合紙などさまざまな用途で使用されている糊でもあります。

にかわ

上製本の表紙貼りに使われる接着剤で最も使用されているのが、にかわです。少し前までは粉末のにかわを適度な水分で膨潤・溶解したものが使用されていましたが、近年では表紙貼り機の高速化、そりの防止などの観点から、ゼリータイプのにかわが主流に。ゼリータイプのメリットとしては、常に一定の濃度で使用できる。そり防止などの効果がある。 機械の適性に合わせたゼリーが選択できる、などが挙げられます。

天糊製本ができるまで

ここでは、天糊製本の流れをご紹介します。例えば100枚入り伝票やメモを作成する場合。印刷した本文を100枚数えて表紙と裏表紙を付けて1冊とし、それを数十冊分重ねて背になる部分に糊付けを行ないます。糊付けに使用するのは、事務用製本専用の接着糊。均一に塗って自然乾燥させ、1冊分ずつ専用ナイフを使って剥がし、分冊します。その後、マーブル巻き・クロス巻き貼り機で背の部分を貼り付けて完成です。背の部分を貼らず、天糊のみで仕上げることもあります。穴あけが必要な場合はドリル穿孔機で穴あけ加工を施したり、複写伝票の場合は下敷きとして使えるように裏表紙に板紙を使用することもあります。

天糊製本イメージ

オリジナルメモ帳に最適!くるみ製本とは?

くるみ製本とは、冊子の背に糊を付け、綴じられたその部分を表紙で直接くるんでがっちりと固定する製本方法です。そんな製本方法を生かしたおすすめの印刷物が、くるみメモ。天糊したメモの天部分に糊を付けて、1枚の表紙でくるんだメモです。加工自体はとてもシンプルですが、貼りが甘いと使用中に表紙と本文が外れてしまうこともあり、技術力が求められる加工でもあります。しっかり表紙と糊付けされていますが、メモ本文を1枚1枚キレイにはがせるのがポイント。実用性が高く、デスク周りで使用することも多いため、常に視界に入ることができるものとして、自社のPRにも最適な商材です。また、表紙・裏表紙・本文いずれにもオリジナルのデザインを入れられるので、費用対効果も抜群です。CCG HONANDOでは、ご予算に合わせた加工をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

くるみ製本イメージ

無線綴じ(くるみ製本)とは?特徴や中綴じとの違い、メリット・デメリットを詳しく解説

冊子の製本方法には、「中綴じ」や「糸綴じ」などいくつもの綴じ方がありますが、今回は「無線綴じ(くるみ製本、くるみ綴じ)」をピックアップ。無線綴じは、文庫本や参考書、カタログといったさまざまな冊子に使用されている製本方法で、皆さんがお持ちの本をはじめ、書店でも見かけたことがあると思います。そんな無線綴じの特徴からメリット・デメリットまで詳しく解説します

CCG HONANDOでは印刷から断裁・製本までワンストップで対応いたします

CCG HONANDOでは、自社工場内で製本工程をすべて管理して製造しています。現在、天糊加工は社外協力会社と製造していますが、自社内でも製造できるように環境を整えている最中です。これまで積み重ねてきた品質管理のノウハウと知見、クオリティを最大限に生かしながら、お客様に満足していただけるベストな品質のものをこれからもご提供してまいります。さまざまな製本方法に対応しているので、冊子印刷でお悩みの方はいつでもご相談ください。私たちCCG HONANDOがお悩みを解決し、お客様の事業を後押しする印刷物をご提案いたします。

納品イメージ

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